今日の講義の補足|経絡治療学会徳島部会の会長が答える

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今日は経絡治療学会徳島部会の定例会でした。

梅雨空の天気の悪い中来ていただきましてありがとうございました。

今回の僕の講義は腎虚証の症例を紹介しました。

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医道の日本社から出版されていました【鍼灸治療室 第3集】の高血圧症の項、陰虚火動によるものの治験例 池田太喜男先生の症例を紹介します。

以下症例です。

昭和52年9月 男 49歳

 

主訴:頭痛と頭眩があり、220位になると嘔気があり、視力が鈍る。耳鳴り、心中虚煩、便秘、不眠、動悸、足冷、手が時々しびれる。食欲・食味とも普通。

 

望診:歩くことに苦労している感じ、腰がふらついている。

面は青黒く、足首から先が貧血している感じ、指先が冷たい。

 

聞診:低音でガラガラ声、少し臭いがあるが区別出来ない。

 

問診:便秘して時に痔出血あり、頭痛、肩凝り、肩背から頸部にかけて引きつり、後頭部が重い、寝付き悪く一度目覚めると朝まで眠れない、足が冷えると胸苦しい、耳鳴りが常に頭鳴と一緒にある。夢が多い、寒がり。

 

切診(腹診):動悸が左天枢穴から鳩尾穴まで続いており、鳩尾穴に近づくに従ってきつく打っている。これは陰気衰え陽気亢ぶった陰虚火動の腹である。同時に臍から下任脈は全く力なく、ぐやぐにゃした感じ、腎気虚脱を現している。

 

(脈診):浮滑やや実数の祖脈であるが、滑とやや実が著明で浮弦と思われる。寸関尺を診ると左尺と右尺が浮いており、命門火旺がありこの脈診のみで考えるのなら病因は房事過度となる。考察して腎虚証と決定。

 

本治法:腎経の復溜(数脈があるので)、陰谷、胃経三里、肺経尺沢、経渠に補鍼、脈を診ると硬さがあり数もある。脾経大都(火穴)に瀉法を行ったがあまり変化なし、心包経曲沢に補鍼すると硬さが取れ少し脈が沈んだ。

 

 

標治法:腹部募穴及び虚している部位に置鍼20分、関元、気海には刺鍼20呼留める。伏位で頭部、頸部肩背部下肢に置鍼、胃兪、志室、京門には少し深く刺鍼し、その後散鍼して終わる。

 

二日目、脈状も症状もあまり変化なく、血圧は170と90で首が楽になった。脈の硬さがあり本治法の補鍼、腎経の然谷を瀉法、とたんに硬い脈がとれた。腎兪と京門に硬結があるので標治法の後灸5壮して帰す。

 

五日後に来院、頭痛、肩凝り消失、動悸も落ち着いて臍上で主に触れる。

血圧140になっている。

腎経京門の灸が効いたか、それとも然谷の瀉鍼が効いたか分からないけど、調子が良くなってきた。脈の硬さもなくなり弱脈になっている。

然谷の瀉法を除いて他は前回と同じ治療。

 

二日して来院、血圧135と82と好調、胸苦しさもなく、頭痛その他の症状もとれた。

下腹部に少し力が入り、動悸は正常となった。寸関尺の尺脈の浮が右のみに少しある。

心包経曲沢を補鍼、三焦兪の補鍼を二十呼留めた。心腎の不交ということが陰虚火動の最大の条件であるが、この患者の場合は腎経火穴を瀉法することにより解決できたことから考察すると、腎の火と水の変調が原因だと思う。三日に一回位治療すること四か月、平常に仕事ができるようになった。

 

この中で治療穴の気味の説明が不足していて理解できなかったみたいなので補足としてこちらでも説明します。

見てくれるといいのですが…

この症例の本治法では腎経の復溜陰谷胃経三里、肺経尺沢経渠に補鍼を行っています。

この症例では腎虚証なので腎を補うことがメインとなります。

そのため自経の自穴である陰谷穴を補うのは分かるでしょうか?

合穴は気味で言うと鹹味となり、腎を補います。

腎経の合穴と言うことは腎を補うの力が強いといえます。

また復溜は金穴で辛味の作用があります。

辛味は肺を補う作用があり、相性関係から肺は腎の母になりますので肺の機能を上げることで腎の機能も上げることができます。

この復溜を補うことで腎とその母である肺も同時に補うことができるんですね。

この考え方で腎の母である肺の金穴の経渠を補うことで肺の機能を上げることで腎の機能も上げることができます。

尺沢の場合は肺の合穴を補うことで肺が腎に作用する力をさらに補うのです。

この補法の説明は相性関係のままなので分かりやすいと思いますが、分かりにくかったのは気味の瀉法による作用ですね。

 

補法は相性関係で働きますが、瀉法は相克関係で作用します。

尺沢で説明しますね。

尺沢の補法は合穴の作用で軟らげるように働きますが、尺沢の瀉法は苦みの作用が働きます。

水(合穴)の相克関係は水剋火で火(栄穴)の苦みが作用します。

木穴の瀉法なら甘味の作用、火穴なら辛味の作用というように相克関係で気味が作用します。

 

陽経の要穴が相克関係になっていますよね。

尺沢の瀉法が魚際と同じ働きをするんですね。

魚際と言うのは使いにくい経穴になりますので、尺沢の瀉法で代用するんですね。

時間がなく説明が不足していたので分か難かったと思います。

また次回からは時間に余裕を持ちしっかり分かりやすくを心がけますね。

またよろしくお願いします。

 

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きっと納得のいく勉強会になるでしょう(^^)

鍼灸の上達方法・練習方法

前回のブログで鍼灸が効果が有るのは分かったけどどうやって練習すれば良いの?

という質問がありましたので、練習方法をお答えしたいと思います。

まずは脈診ができる方向けに答えます。

いろんな流派がありますのでそれぞれの診方をしてもらえば良いです。

その脈診で弱っている経脈(陰経・陽経)、臓腑を探します。

弱っているところを見つけたら、それぞれがその弱っている部分が良くなると思うツボを考えます。

そのツボを指で優しく触り、脈が変化するか診ます。

 


 

例えば胃が弱っているとします。

胃で言えば右の関上(かんじょう)の脈が弱くなっていますよね。

これを三陰交(さんいんこう)で治療を行ったら治るんじゃないかと考えます。

そう思ったら三陰交を指で軽く触るくらいに押さえます。

三陰交で胃の脈が弱くなっているのが変化すればそのツボが効果が有るということが分かります。

三陰交で治らなかったら反応しませんし、ツボがずれていても脈は変化しません。

これは脈を診る診断力、ツボを正しく押さえられる技術、症状に合ったツボを探すことが出来る学術がいります。

この方法は、ある程度診断技術や治療技術がアップしてきた時にさらに成長するときに使える練習方法です。

 

 


初心者には違う方法があります。

お腹で圧痛がある場所を探します。

胃が調子が悪いとして中脘(ちゅうかん)のツボに圧痛があるとします。

これを三陰交のツボで治るだろうと考えます。

実際に三陰交で治るとしてもツボがズレていれば効果が有りません。

三陰交が効果が有るのか?ツボが合っているのか?を調べるために中脘の圧痛の部分に手を置いたまま、または印をつけておいてこの圧痛が消えるかどうかを調べます。

正しいと思っている三陰交に触れるくらいに指で押さえます。

三陰交を押さえたまま中脘を押さえて圧痛を診ます。

変化があれば三陰交のツボの位置は合っていますし、治療点としても合っています。

変化がなければ三陰交のツボの位置がずれているか、治療点として間違っているので違うツボを探すことになります。

 


 

この中脘の圧痛というのは前回のブログで話したように反射になりますので解除ポイントであるツボを探すことが出来ればすぐに消えてしまいます。

ただ胃が荒れているとか、潰瘍ができているという場合は、物が変化している器質的変化なのですぐには変化しませんが、内臓体性反射である表面の圧痛を解除できれば胃の痛みは軽減します。

初心者の場合は脈診もできないでしょうから、腹部の圧痛などを調べてその圧痛が消えるポイントを探しながら治療することが、患者さんの信頼も得ながら効果のある治療が出来るコツです。

ぜひ実践してみて下さい。

 


 

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