【蓄膿症の症例】を経絡治療学会徳島部会の会長が詳しく解説

前回の記事が人気があったのでまたやって説明していきます。

今回も鍼灸治療室 第3巻 清水千里先生の蓄膿症の臨床例がよく調べていて勉強になるので例に挙げて説明していきます。

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治験例

伊〇愛〇 女性 69歳

主訴:頭痛、のどがいらいらいして咳をする、胃が張って食欲がない、身体が疲れやすく節々がダルイ。

既往症:10年位前から時々血圧が高くなる。数年前に蓄膿症と診断されたが三ヶ月ほどで治っている。その他疾患なし。

血圧 最高150 最低90

検尿 ウロ、糖、蛋白すべて(-) pH6

脈診 腹診ともに脾虚

反応点

顔面部:四白・巨髎・顴髎・鼻中・迎香に著明な圧痛がある。

胸部:膻中・左神蔵・左天池に圧痛がある。

腹部:巨闕・中脘・梁門・章門・大巨・右上不容に圧痛がある。

特に巨闕・中脘・梁門の圧痛と緊張が著明で、胃に炎症があり機能が低下しているようである。

四肢;公孫・三陰交・足三里・太衝・神門・内関に圧痛が出ている。

背腰部:天容・心兪・肝兪・脾兪・胃兪・胃倉・志室・小腸兪に圧痛がある


主訴:頭痛、のどがいらいらいして咳をする、胃が張って食欲がない、身体が疲れやすく節々がダルイ。

頭痛というのはどの臓腑でも出る可能性はありますが、場所によって変わってきます。

前頭部は陽明経。

側頭部は少陽経。

後頭部は太陽経。

頭頂部は肝経などです。

ここでは場所が明記されていませんので参考にしません。

のどがいらいらして咳をする。

これは何か詰まったような感じ、またはのどに引っかかっている感じがあれば、梅核気、ヒステリー球で腎虚によるもの。

咳が出ているので胸の熱になっている可能性があり、肺の熱によるものと考えられる。

肺経はのどを巡っていますので、いらいらする感じが出るでしょうし、胸に熱があると咳が出ますのでここでは肺の熱(胸の熱)と考えます。

胃が張って食欲がない

というのは胃の主である脾臓が弱って胃の働きが悪くなったためです。

身体が疲れやすく節々がダルイ。

これは脾臓が弱くなったための症状です。

疲れやすいというのは中央である脾臓が他の四臓に水穀の精気を送れなくなったために起こります。

節々にだるさが出るというのは四肢をつかさどる脾臓が弱ると体重を支えられなくなって痛みやだるさが起こります。


既往症

10年位前から時々血圧が高くなる

血圧が高くなるのは心臓か腎臓の問題です。

血圧 最高150 最低90

上が150なので少し高いくらいですね。

そんなに問題にすることもないと思います。

数年前に蓄膿症と診断されたが三ヶ月ほどで治っている。その他疾患なし。

蓄膿症の場合は鼻の周り、すなわち陽明胃経に反応が出ます。


反応点

顔面部:四白・巨髎・顴髎・鼻中・迎香に著明な圧痛がある。

蓄膿症の既往症がありますので、鼻の周り特に陽明経に圧痛があります。

蓄膿症や花粉症の場合、陽明経に熱が停滞して鼻に異常を訴えることが多い。

胸部:膻中・左神蔵・左天池に圧痛がある。

胸部の圧痛点が心臓に関係のあるツボであることから心臓に熱が多くなっていると考えられる。

腹部:巨闕・中脘・梁門・章門・大巨・右上不容に圧痛がある。

特に巨闕・中脘・梁門の圧痛と緊張が著明で、胃に炎症があり機能が低下しているようである。

この腹部の圧痛から脾胃に異常のあることが分かる。

巨闕穴の反応は心臓の異常を現すものであるが、脾胃の異常が強くなるとこの辺りにも広がるために、脾胃の異常から来るものか心臓の異常から来るものか文章だけでは判断しかねる。

また右の上不容に圧痛があることから肝臓にも異常が出ている可能性もある。

四肢;公孫・三陰交・足三里・太衝・神門・内関に圧痛が出ている。

公孫・三陰交・足三里から脾胃の異常、神門・内関から心臓の異常、太衝から肝臓の異常が考えられる。

背腰部:天容・心兪・肝兪・脾兪・胃兪・胃倉・志室・小腸兪に圧痛がある

天容は長野式で言うところの免疫反応が出るところとして有名である。

長野潔先生は常にこの免疫治療を使われてたと読んだ記憶がある。

心兪に圧痛があるということでやはり心臓の異常が考えられる。

小腸兪は心臓の表裏関係で反応が出ていると考えるか、広義の胃として反応が出ていると考える。

脾兪・胃兪・胃倉から脾胃の異常が考えられる。

肝兪から肝臓の異常が考えられる。


考察

この方の場合、主訴から脾胃の異常があることは間違いない。

また体表の反応からも脾胃に負担がかかっているようだ。

蓄膿症が治っているというが、顔面部の陽明経の反応からまだ完全に治っているとは言い難い。

陽明経に熱が停滞していると考える。

また胸に熱が多くなっていると考えられる。

これは陽明経の熱が裏である太陰経(肺経)に移行し、太陰経から肺にまで及んで胸に熱が多くなっていると考えられる。

肺に熱が多くなると鼻閉となり鼻が詰まる。

その肺の熱が同じ胸部にある心臓にまで及んでいることが胸部の圧痛で分かる。

心臓に熱が多くなっているので心肥大や寝汗、息切れなどがないか問診しておいたほうがよい。

問題は肝臓に異常があるかどうかだが、脾胃に負担がかかっているということなので食べ過ぎが考えられ、そのために食塊ができていると考えられるが、ここでは主訴が肝臓に関係するものがないので考えないものとする。

経絡治療の証で言うと脾虚熱証でその虚熱が心と陽明経に多く停滞していると考えられる。

脈診は脾虚ということで詳しい詳細が書いていないが想像すると、右の関上は強く浮いていて、胸の熱のために両寸口は浮いて強いか、心臓に熱がこもっている状態なので左の寸口は強く締まっていると考えられる。


治療

脾臓を助けることで胃や四肢の働きが良くなり、食欲や四肢の怠さがなくなる。

また陽明経の熱を瀉すことにより鼻炎や鼻の圧痛、四肢の圧痛、蓄膿症などが良くなるが慢性症状なので時間はかかる。

問題は心臓の熱であるが大本である脾臓の陰虚の熱や経の熱を治療することで治まることはあるが、これだけでは足りないので神門か霊道を使って心臓の熱を減らさないといけないだろう。

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